あいの世界旅行記

発展途上国を中心にバックパックする女子大生の旅キロク

【社会問題】インドに残るカースト差別

今回はまじめに、インドの社会問題について書いていこうと思うます。

 

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カースト、という言葉は皆さん耳にしたことがあるかもしれません。

スクールカーストとか、日本でも使いますからね。

 

そのカーストというのは、インド由来です。

 

インドの大多数の人が侵攻しているのがヒンドゥー教で、そのヒンドゥー教身分制度カースト制度です。

じつはカースト制度というのはポルトガル人たちが付けた名前で、インドではヴァルナ、ジャーティー、といわれていますが、まあ馴染みがあるのでカーストで行きましょう。

 

で、職業で分けられて、同じ身分の中でしか結婚できないとか、身分が違ったら一緒に食事できないとか、いろいろあるわけですが、上のカーストの人たちの、舌のカーストの人たちに対する差別がひどかったので、カースト差別はよくないという話になり、1950年に法律で不可触民(最低レベルのカースト)への差別禁止が定められました。

 

だから、インドにカースト差別はない、もう終わったと思っている人たちがインド国内外問わずかなりの数いるようです。

私も、インドに行く前はカースト制度は歴史の話だと思っていたんです。

 

それで、実際に私が見たこと、聞いたことをお話ししますね。

 

まず、前置きで言っておきたいのは、インドは文化の地域差が大きいので、私が経験したことがどこの地域でもそうということはありません。

それから、私も現地で人の話を聞いたに過ぎないので、その人の話が嘘や盛ったものだったら、ということもあります。

なので全部「事実」として鵜呑みにするのはご遠慮願いたいのですが、知ってほしいという私のわがままです。お許しください、、、

 

 

私が見聞きしてひどく驚いたのは、田舎の村の未亡人への差別です。

差別用語なので寡婦、といったほうがいいかもしれませんが、現地での言い方そのまま採用させていただきます。

 

未亡人はカーストのどこに位置するかというと、不可触民は不可触民なんですが、なんと、死体と同じカースト

未亡人に会ったらその日は不幸が起きるとか、本気で信じているようです。

 

未亡人になったらどうなるかといいますと。

 

まず嫁いだ先の家から追い出されるのですが、財産は全部夫の家にとられます。

一文無し、家無し、仕事なしで放り出されます。

ちなみに子供も一緒にです。

さあ、実家に戻ろう。

甘い、、、

実家も未亡人は受け入れてくれません。

超寛大に受け入れてくれたとしても一生外に出られない半地下軟禁暮らしです。

というわけで一文無し、家無し、仕事なし、もっと言えば就職スキルなしで路頭に迷うんです。

日本みたいな生活保護なんてないですよ。

なくはないけど簡単に受給できないし、社会を知らずに家で働いてきた未亡人には難しすぎる。

 

どうするかってもう死ぬしかないでしょ。

 

だからね、未亡人の自殺が後を絶たないんです。

 

昔、インドでは亡くなった夫を火葬する火の中に飛び込んで後追い自殺するのが女の美徳とされていました。サティといわれる文化です。

これは悪しき習慣として禁止されるようになったのですが、火葬後、こっそり首をくくったりして亡くなる未亡人が多いんです。

それは、未亡人のひどい扱いを知っているからでしょう。

 

サティの文化があったことにより、女性が一人で生きていくというのを許容する社会が作られなかったというのもあるんでしょう。

 

自殺しないで強く生きる女性も多くいます。

頼れるものもお金もなく、人前を歩くこともおしゃれをすることも許されない過酷な生活で、子供を巻き込まないように泣く泣く子供を養子に出したりして。

 

私はそんな女性たちの自立を助ける活動に参加してきました。

 

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未亡人の女性たちのMTG兼ワークショップ。近隣の村からも集まり100人越え。

 

女性たちが収入を得られるように、グループを作ってそこでお金を助け合う自助的なシステムで、外からの支援がなくても運営していくことができる仕組みを作りました。

自分たちの力で持続可能かというのが重要ですから。

 

それからもう一つ大事なのが、地域全体の意識改革です。

差別はいけないんだ。

未亡人は不吉じゃなくて同じ人間だということをみんなに分かってもらえなかったら、根本的には解決しません。

 

ただ、こちらは一筋縄にはいかないですね。

人の価値観を変えるというのは本当に大変なことですから。

 

だからまず、未亡人の女性たち自身のエンパワメントをして、自信を持ってもらうことにしました。

 

未亡人の女性たちの多くは、自分たちは不吉で、生きている価値もないと信じています。

自分たちがそんなじゃ、地域に向かって働きかけるなんて無理ですから、そこの意識をまず変えようというわけです。

 

これは、四年ほどたって効果が出てきました。

おしゃれをしたり、昼間堂々と街を歩ける女性が増えました!!!

 

今後、こうして意識改革の波が広がっていくことを期待します。

 

 

最後に、難しい話ですが大事なことを。

 

「文化相対主義という言葉を聞いたことがありますか?

 

バカっぽい言い方をすれば

「みんな違ってみんないい」

ってやつです。

 

何が言いたいかというと、

今回の記事は、ある意味

カースト差別なんてダメな文化だ。やめたほうがいい。

というスタンスでやってきたわけですが、その価値観ってあってるの?って話です。

 

みんな平等がいい、というのはこちら側の考えです。

歴史的にずっと行われてきたことを否定する権利も、平等が絶対正義なんだという考えも、押し付けるのは違うかもしれないのです。

 

外国から(違う文化圏から)、どこかの国に

いわゆる国際協力、をするとき、壁になるのがこれです。

どこまで口出して変えさせていいのかっていう。

 

 

今回に関しての私なりの結論。

カースト制度は文化。否定しない。でも、カースト差別は絶対にダメ。

 

差別されている張本人たちと話す機会があったので聞いてみたんです。

カースト差別についてどう思う?差別はなくなってほしいでしょ?」って。

答えは驚き。

カーストは文化なの。だから差別されるのは仕方ないのよ」って。

 

その考えだけは、ちょっと変わってくれるといいんだけどな、と思ってしまった、、、

 

みなさんも、何かお考えがあればお聞かせください。

 

 

ではでは。