あいの世界旅行記

発展途上国を中心にバックパックする女子大生の旅キロク

【社会問題】ミャンマーの戦争遺児

2019年3月、ミャンマーへ。

 

国全体についてはこちらをご覧ください。

 

i-travelworld.hatenablog.com

 

ミャンマーで強く印象に残ったことの一つが、孤児院のこと。

日本では児童養護施設という言い方が妥当かもしれませんがあえて孤児院と書かせていただきます。

 

 

世界のいろいろな国で孤児院を見せていただくのですが、孤児院には社会問題が凝縮されていると感じます。

 

具体的には、そこにいる子供たちがなぜ親と暮らせないかという理由を考えると、社会問題が浮き彫りになります。

 

 

例えば、生涯を持つ子供に対して偏見のある地域では、障がいのある子供が育児放棄されたり捨てられたりするので、孤児院はさながら障がい者施設と化します。

人種によって経済的階層に差が出るような国では、貧しくて子供を育てられない親によって預けられたマイノリティの子供たちが多くいたりします。

日本では、児童虐待が大きな問題となっており、児童養護施設を覗けば虐待サバイバーの子供が多くいます。

 

大人たちが抱える問題はこどもに直接影響します。

だからこそ、社会で起こっている問題の被害を受けるのは子供たちであることが多く、児童養護施設を見るとその国の抱える問題がわかるというわけです。

 

 

では、ミャンマーの子供たちはどうだったかというと、

 

ミャンマーの社会問題といえば、

やはり他国との関係性や政治ということになるでしょうか。

ロヒンギャ難民のニュースをよく聞くように、宗教や人種の異なる人々に厳しい政策や、国境線での紛争などが現実に起こっています。

 

中国やインドとの国境線では紛争が絶えず、私のような観光客は危険なので絶対に近づいてはいけない場所です。

だから、国境沿いの紛争のことを実感する機会はなかったのですが、

孤児院では違いました、、、

 

 

ミャンマーの大都市ヤンゴンから車で三時間ほどでしょうか

タイの国境の方面、

郊外の街の孤児院に行きました。

 

いたって普通の孤児院。

女の子だけを集めた施設です。

 

とはいえ日本のそれとは全然違います。

個人や少人数に分けられた部屋はなく、だだっ広い大部屋に仕切りもなく雑魚寝。

常に人と一緒の生活。

 

しかしその点を除けばかなり整った環境。

掃除の行き届いた施設、広さも十分、庭もあり、遊ぶ道具やアクティビティも充実している。

 

 

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まず施設を一通り見学。

昼食をとった後は子供たちが集まり、私たちに歓迎の歌を歌ってくれました。

 

で、子供はやっぱりかわいいなあとか思い、

とくに表情が暗いとか目立って気になることもなかったので、その子たちが孤児であることも忘れて普通に楽しんで、

お礼に私たちも歌や踊りをさせられ、、、

 

ふっと気になり施設の人に聞いてみる

 

「この子達はどういう理由でここへ来たの?」

 

答えが驚きだった。

 

「国境沿いの村で紛争に巻き込まれて、親を亡くした子たちよ」

 

きけば、ここにいる子供たちの多くはヤンゴンの出身ではなく、中国との国境沿いにある村の出身で、そこで起こった紛争によって家族を亡くしたり、家族が負傷した、あるいは戦場に駆り出されたことによって家族と離れなくてはいけなくなった子たちなんだとか、、、

 

田舎の村なので、両親が亡くなったとなれば親戚も同時に亡くなっていることが多く、身寄りがなくなるんだそう。

 

親を亡くしただけでなく、生まれたところから遠く離れ、全く違う生活環境の中に放り出されてここにいる、、、

 

というのも、中国の国境沿いの村では、ヤンゴンとは住んでいる人種が異なり、生活スタイルや言葉に至るまですべてが違います。

子供たちにとっては一人も知り合いのいない外国にいきなり飛ばされるようなものなのです。

 

 

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この写真の女の子、顔が少し中華系っぽいのがお分かりいただけるでしょうか。

中国国境の村出身、この施設に来たときは言葉を覚えたてのよちよち歩き、

言葉が通じないので一言も話さず、笑うこともなかった、、、

そんな彼女は、今では故郷の言葉を忘れてしまったという。

 

故郷で家族と暮らせないとなったら、何が彼女にとって幸せなのかわからないけれど、

生まれたところの言葉や家族のことをすべて忘れ、新しい言葉で違う民族の友人と語り合い、無邪気に笑う子供の顔が、今も忘れられない、、、

 

 

 

 

 

話はそれますが、、、

貧困を理由に児童養護施設に預けられる子供は世界中に多くいます

でも、ミャンマーでは違うんだなあ

 

そこにはミャンマー独自の事情があります

 

貧しい家の親は子供を養えないときどうするか、

寺に預ける。

それがミャンマーでの答え。

 

ミャンマーでは小学校に上がるくらいの年代の子供たちが最低二週間ほど出家するのがお決まり。

男女関係なく頭を丸めて寺で過ごすんです

 

で、信心深い家庭だったりすると二週間どころかそのまま修行させてお坊さんに育てる、というのがあるあるなんですが、、、

家庭が貧しい、兄弟が多いなんていう理由で寺に住んで僧になる子供も多くいるんです!

 

みんなが寺に寄付をする文化なので、寺にいれば生活に困ることはないし、僧院学院という寺の学校で算数なんかも全部学べちゃう!

 

 

ミャンマーの孤児院事情は、ミャンマーの社会のいろいろな側面を教えてくれる興味深い物でした。

 

 

今回はこの辺で、

ではまた~